旧国鉄士幌線アーチ橋梁群(6件)

■概要・見所
◆全体
 上士幌町の市街地から糠平、十勝三股の山岳森林地帯を南北に貫く国道273号に並行して所々にあらわれる、かつての国鉄士幌線で使われたコンクリート造りのアーチ橋です。昭和初期に十勝内陸の産業開発を目指して建設された、貴重な近代産業遺産です。周囲の自然環境とも調和した景観が高く評価されています。
 現在は、保存運動の結果、34橋梁が保存されています。中でもタウシュベツ川のアーチ橋は、糠平湖の水量により、その姿を変える「幻の橋」といわれ人気が高まっています。
◆旧国鉄士幌線第三音更川橋梁(泉翠橋)/1936(昭和11)年建造、10m×2+32m+10m
 鉄筋コンクリートアーチ橋としては、北海道一の大きさを誇る32mの美しい橋です。桜と釣りの名所・泉翠峡という景勝地にかかり、元小屋ダムの静かな湖面に影を落としています。(国道の泉翠橋の西側)
◆旧国鉄士幌線勇川橋梁/径間4m、アーチ型橋梁
◆旧国鉄士幌音更トンネル/全長165m
◆旧国鉄士幌線第六音更川橋梁/1938(昭和13)年23m+10m×6R
 国道から少し入ったところに架かる大きな橋です。橋の下に降りることもでき、見上げる眺めは迫力があり、周囲の緑や険しい崖とのコントラスト、音更川の流れが楽しめます。(幌加温泉の手前東に入る)
◆旧国鉄士幌線十三の沢橋梁十三の沢橋梁/アーチ型橋梁、径間58.0m
◆旧国鉄士幌線第五音更川橋梁/1938(昭和13)年10m×23m+10m×6R
 国道272号線からよく見える大きなアーチ橋です。10mの無筋コンクリートアーチが連続し、音更川をまたぐところには23mのコンクリートアーチが造られています。(国道・滝ノ沢橋の東側。また、幌加駅から糠平方向に15〜20分ほど歩くと、永久凍土を貫く音更トンネルがあります)

【産業遺産/北海道産業考古学会会長・山田隆大】
(橋梁)帯広市から十勝三股に向かう国道273号線にそう音更川に士幌線跡とコンクリートアーチ橋梁群(約30)が残っている。この線は1926〜1954年に建設され、橋は現地土砂を形態を連続アーチとし、自然に調和した。代表的なものに36年建設の音更川第3、同第5、タウシュベツ橋梁があり、平成10年保存決定、地元NPOの保全活用活動も活発で、北海道遺産(第1回)に指定され、全国的に有名となった。
旧国鉄士幌線アーチ橋梁群(6件)の写真

旧国鉄士幌線アーチ橋梁群(6件)の写真

●所在地 河東郡上士幌町内
●その他問合せ先[名称]上士幌町役場 企画課
[住所]〒080-1492河東郡上士幌町字上士幌東3線238
[TEL]01564-2-2111
●文化財の指定登録有形文化財
●営業・開催・見学情報 [公開の状況]通年公開
※タウシュベツ川のアーチ橋は、1〜9月頃まで観賞できますが、それ以外の期間になると糠平湖の水量が上がり湖の下に隠れてしまいます。
●備考 [写真出典]北海道大学建築史意匠学研究室