「ゲニウス・ロキ」(地霊)という言葉がある。鈴木博之氏の著書でこの言葉を知った時、衝撃を受けた。1時間半の鈴木氏の講演が聞きたくて、東京へ日帰りしたこともある。私は「ゲニウス・ロキ」を、その土地が持っている時間の蓄積や、人の営みによって醸し出される情感のようなものではないかと解釈している。それを嗅ぎ取り皮膚に染み込ませて、私は、初めてその土地に生きている実感を抱ける。そのために素手で物語を発掘し、いつの日か、借り物ではない自分の言葉で、自分を取り巻く世界を再構築してみたい。そんな目標を胸に「ゲニウス・ロキ」を求めて舟を漕ぎ、旅を続けられるのは幸せなことだ。私にとって「カイ」とはまさしく舟の櫂である。(北室)