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新しい年へ

2009年、「スタイルのあるモノ語り」では、
多くの北海道の作り手の方々にお会いでき、
実り多い年だった。
北海道と言えば、食や観光ばかりが注目されるが、
こつこつと、北海道ならではのものづくりをしている
たくさんの作り手がいることを、
これからも紹介していきたい。
それはきっと、
北の地でなければ生み出されないものに違いないから。
いわゆる日本的伝統とは異なったバックグラウンドから、作られるもの。
その面白さは、ほかにはない。
今年1年、ありがとうございました。
そして新しい年に、また走り出します。

次号登場の苧坂恒治さんのギャラリーにて。器にうずまきの宇宙が広がる

次号登場の苧坂恒治さんのギャラリーにて。器にうずまきの宇宙が広がる

ブレブレですが…

2009-03-30 634
取材班は小樽の宵闇へと吸い込まれていくのであった。 

次号の鉄旅は、このフレーズで締めくくった。

その瞬間を写したのが、この一枚。

取材終了後の解放感?脱力感?

ブレブレなのに、なんだか捨てられない。

 ことし一年、取材に協力してくださって、ありがとう。

ヒヤヒヤしながらも読んでくださって、ありがとう。

おかげさまで、私の中の鉄分が増えました。

『札幌アートウオーク』刊行イベントに参加して

週末の2時間、貴重でした。

今日ジュンク堂札幌店で本誌『カイ』のライターでもある谷口雅春氏とフォトグラファー露口啓二氏 + 美術家 岡部昌生氏によるトークセッションに聞き入りました。コンセプチャルなアートの生々しい水流に身をゆだねながら色々なものが爆発し、強烈でした。岡部氏のフロッタージュ作品と露口氏の写真についてのトークにおいては、谷口氏の投げかけに生じ、写しとる・映しとる・移しとる、をテーマに、世界の時間を一旦止めて一気に超越し始める時間軸を思い浮かべながら、露口氏、岡部氏の作品に対して、化石やタイムカプセル、未来と過去に向かって同時に光速回転する摩擦感、そこに見え隠れする現実の風景や空気感などを体感してきました。本を読む前から期待がふくらみます。

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見るべし! 酒井広司写真展

手仕事感のある図録がまたいい!

手仕事感のある図録がまたいい!


酒井広司写真展「Sight Seeing」09.12.05〜19(土)

CAI 02ギャラリー(札幌市中央区大通西5丁目 昭和ビル地下2階)

酒井広司はラディカル(根源的)な写真至上主義者だ。世界を写真で切りとるとか、写真の中に世界があるのではなく、彼にとっては写真こそが世界なのだ。今年3月にコンチネンタルギャラリー(札幌市中央区南1条西11丁目)で開かれた「酒井広司『印画紙としての写真』展」では、30年前の大学の卒業制作がかなりのボリュームで展示されていた。驚くと同時にすんなり腑に落ちたのは、30年前から酒井広司は酒井広司だったという事実だ(まさに愛すべき頑固者)。

酒井は、世界をあまねく満たしている過剰な意味を躊躇なく洗い落としながら、物語や風景ごときに決して媚びることなく、北海道に深く根ざして北海道を写してきた。絶景も決定的瞬間もなく、人間や動物もなく、さらには地名を緯度や経度の数値によって隠蔽するなど意味の希薄化を周到に重ねることで、彼は誰にも似ていない北海道を102点の写真として焼き付けた。意味体系が仮死したようなこの北海道の風土には、不思議に音さえも存在しない。あるいは無音という音(サウンド・オブ・サイレンス)が清潔に響きわたっている、というべきだろうか。

そうして15年にわたって重ねられてきた営みを、酒井は「Sight Seeing」(観光)とくくるのだ。これは、開拓使以来その紋切り型の絵姿を一方的に流通させられてきた北海道に手向けられたユーモアか、アイロニーか、パラドックスか。このふるまいの秀逸なセンスと戦略の合理性に、人々はまだ十分に気づいていないのではないだろうか。

酒井のプリント技術はよく知られるところだけれども、それにしても1枚1枚になんと美しい強度がみなぎっていることか。見るものを逆照射するような、「モノ」としての写真の力。モノには、単なるマテリアルな意味に加えてスピリチュアルな意味がある(もの悲しいとかものさびしいというときの「もの」)。改めてそんなことにも気づかされる、北海道に向けられたこの稀有なまなざしを、ぜひ体験しよう。


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