『札幌アートウオーク』を読み終えて。
昨年12月19日『札幌アートウオーク』刊行トークイベントは記憶に深く刻まれるものでした。そしてこの本を読むことでアートへの想いが膨らむのです。
断片的なアートの紹介本とは大きく違います。札幌の深い史実や水系が誌面の中に美しくながれ、いまの札幌とかつての札幌の情景がフェイドイン・フェイドアウトしながら、ゆっくりと積み重なっていきます。同時にさまざまな時代の流れの中で生み出されたアートが作家のバックグラウンドと交差し、その存在理由がいろいろな角度から立ち上がってくるようです。
「アートがもたらすのは、人間の認識や感性の底や隙間にあるはずの何かへの気づき」という著者のことばに、作品自身がこれまでまとっていた意味から解放されていくようで、ゆえに読む側にも自由な発想や気づきを与えてくれます。
それは現実という概念を飛び越え、いまに新しい感覚を呼び起こします。本書を読み終え、人もまばらな中島公園の雪原を散歩しました。1958年北海道大博覧会が行われたこの場所で、遠くにそのざわめきが聞こえるようでした。それは自分にとってまさに「気づき」で、アートと直結する何ものかだと思えたのです。いい表わすのが難しいので是非みなさん『札幌アートウオーク』を体感してください。本書自体がわたしにはアートです。今日は田上建築の城下医院の前を散歩してみました。
『札幌アートウオーク』
本誌『カイ』のライターでもある谷口雅春氏とフォトグラファー露口啓二氏の共著。ブックデザインはエディアワークス佐々木正男氏によるものです。(北海道新聞社刊)





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