知る、愉しむ、創る。ホッカイドウ・マガジン「カイ」

カイ│KAI〔WEB版〕




フォトログ 亀らは、かく語りき

北海道を探しに行こう。と、広大で深遠な大地を旅する私たち。その歩みは亀のごとく、スローではあるけれど、おかげさまで出会うモノやコトや人々に勇気づけられ、前へ前へと進んでいます。本誌では紹介できなかった画像、あるいは取材対象とは別に、ファインダーを捉えた“感動モノ”も多々あり。カメラクルー、ライターたちの視点をどうぞお愉しみください。

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彫刻家二部黎さんの庭

保苅実さんの姉上である保苅由紀さんが、保苅さんに関するサイトhttp://www.hokariminoru.org/j/index-j.htmlで、私たちのエントリを紹介してくれた。このサイトには本になっていない保苅実のテキストも含め、おおくの情報が紹介されている。是非ご覧ください。

露口のブログ「ぼさく」FREMEN – フレメン写真製作所にも、「保苅実写真展」の記事があります。ついでにご覧ください。

笹倉いる美さん、瀬川拓郎さんや私たちは、今回の「保苅実写真展」は、はじまりであり決して着地点ではない。これからさまざまな形に変化しながら、継続していくものと認識しています。もちろん保苅由紀さんも同意なさるはず。

 

「保苅実写真展」を見に行った翌日、彫刻家二部黎さんのアトリエにご夫妻を訪ねた。二部さんのアトリエはカイ3号で紹介させてもらったが(3号の表紙も二部さんのアトリエの一角です)、いつもかわらず、言葉に尽くせないあたたかく静謐な空気に満ちている。カイ3号と重複してしまいますが、写真で紹介します。

二部黎さんの庭です。ではどうぞ。

まずは、ライ・クン・ナイの湧水と来運神社

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制作中の彫刻

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オンネ・ヌ・プリ(別名斜里岳)が眺められる、小鳥のための場所。

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この場所には謎のテラコッタがいっぱい。歩くときは気をつけて。

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谷口雅春が教えてくれたオンネヌプリ、ライクンナイに関する二部さんのテキストをご紹介します。

 

オンネヌ プリ(斜里岳)   

 

  萱野茂氏のアイヌ語辞典には、「オンネ」の頁に①年をとる ②死ぬ、とふたつ の

意味が記されている。死は一般に「ライ」を用い長老の死に尊敬を込めて「オンネ」

を用いたとある。私の住む来運地区は原名をライクンナイ(死んだ川)、 明治31年の植

民地解放以降、来運の文字があてられたと、知床博物館出版、「地名探訪 しゃり」

にある。

 

  私は毎朝、オンネヌプリを見ながらライクンナイの湧水を汲みに行く。昨年十月、

この地に住んでから、猛吹雪の日も欠かすことのない日課になった。尊敬を 込め、両

手を広げてあいさつをし、冷たい水を一盃グイッと飲む。

 

  この地に住んだ先住民にとって「年老いる」ことと、「偉大で気高い」ことは、生

き続けるための絶対価値なのであろう。いつも堂々と美しいオンネヌプリに は、年老

いたみじめさなどどこにもない。

 

  旧石器の遺跡が越川地区に確認され、縄文、続縄文、オホーツク、擦紋、アイヌ文

化と続く人類の営みが、この地に多くの遺跡を残した。文字を持たない永い 時代、こ

の地に住む人々は、民族の違いを超え、時を超えて、オンネヌプリに象徴される老い

ること偉大であることの哲学を、二万年もの間永々と心から心へ引 き継いできたので

あろう。海別岳もかつてはオンネヌプリと呼ばれ、遠音別岳はまさにオンネヌプリの

漢字への音写である。

 

  快いせせらぎ、やわらかなおいしい湧水、樹林を翔び交う小鳥のさえずり、毎日途

切れることなくこの地に人々がやってくる。

 

  ライクンナイは生きる意味を語り、水と安らぎを生あるものに与え続ける。

       ひとつの死はあらゆる生のためにある。

       死は終わることではなく全ての生の始まり・なのかもしれない。

 

  この水を飲みながら考える。年老いること偉大であること。死と生のこと。毎朝毎

朝、山と川、たくさんのこの地の生きものから学び続けている。


                             二 部   黎

 

ライ・クン・ナイの湧水の水と二部自家焙煎のコーヒーは、すこぶるおいしかったです。ごちそうさまでした。

五月雨

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