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全体検討委員会(1)報告

カテゴリー:検討委員会

 平成19年11月26日(月)、第1回目の調査検討委員会(全体会)を開催しました。その模様をお知らせします。

概要

1.日時:平成19年11月26日(月)15:00-17:15
2.場所:霞が関コモンゲート西館(霞山会館ビル)37階「霞山会館」
3.参加者:各地区検討会座長など検討委員9名、関係機関・自治体など
4.議 題:
(1) 調査の趣旨、目的、内容、進め方等について
(2) モデル地区の取組状況について
(3) 都市住民アンケート調査結果について
(4) 健康長寿観光のあり方について

 北海道上士幌町町長・竹中  貢氏が冒頭に挨拶。

 

委員から出された意見

地域観光会社(エリア・ツーリズム・エージェンシー)

・この事業の成果として、健康長寿観光を推進するための「地域観光会社」を現実味のある形で発信していければよい。全国の参考になる形を描いてほしい。
・医療機関との連携や、受け入れ側の自治体とのつながり、旅行後の生活習慣改善などにつなげていくためのネットワークなども視野に入れた、実効性のある形が出ればよい。
・沖縄本島のある地域で調査をした際、地域活動が盛んなところは医療費が少ないというデータが出た。つまり活発に高齢者が活動している地域は健康であるということである。道路を花で飾ったり、シーサーの作り方を教えたりという活動は観光に結びついているが、そういった取り組みに参加することによって住民が健康を維持している面がある。
・このように地域づくり・地域おこしによって地域・ホスト側の健康長寿にも繋がるのではないか。また、ゲストとホストの深い関わりの中で健康が作られていけば良いのではないか。その仲立ちをするのがエリア・ツーリズム・エージェンシーだと思う。

健康長寿観光とは

・癒し、森林浴などにただ「健康長寿」という冠をつけるのではなく、本物を作ろうというメッセージをしっかりと出したい。
・「健康長寿」を謳うためには医療機関とのネットワークにより医科学的根拠を出していかなければならない。
・「健康長寿」の「健康」の範囲は「社会全体の健康」くらいまで広めに取りたい。うつ病がだいぶ増えているが、そういうことも含めて、心と体がバランスよく、より大きく言えば社会全体が健康になるようなことを提案できればと思っている。
・健康長寿というと老人のイメージになってしまうが、若い時期からやっていくことが大事だと思うし、家族対象だと必ずしも老人ばかりではない。
・人を癒すにしても、外側からトリートメント型でやるのか、ヒーリング型で内側から出てくるようにするのかという問題もある。
・体・心・地域社会の健康という意見が出されたが、やはり体にこだわりたい。地域にはもともと体作りの作法、習慣があったが、それを全部医療のシステムに負わせてしまったのが今の状況ではないか。地域の中にある文化資本としての「体にまつわる文化」をもう一度掘り起こすことが重要ではないか。

エビデンス(科学的根拠)が必要

・「ヘルスツーリズム」という概念がニューツーリズムの一つの柱として登場しているが、主観ではなく客観的に健康づくりに資する仕組み、観光の姿が必要ではないかと思う。
・多くの人たちがより自由に健康的に活発に行動をするようになることで、介護保険費や医療費が減るというエビデンスが出てくれば良いと思う。ただ、そうなるとかなり長期的に検討しなければならないが。
・「エビデンス」は医科学的なもので良いと思う。ストレス解消であればPOMS試験で良いし、スポーツ関係であれば筋力、森林浴なら血圧低下というように、バックに科学的なデータがあるべき。また、そのためには公平で信憑性がある大学や公的機関のバックアップ、ネットワークがあれば良い。
・健康長寿観光には治験ネットワークと同様に、個人情報の秘匿など医の倫理がなければならない。その上でデータ取り・公表というようにしないと、訴えられると負けてしまう。そこまでの知識が観光業者などには不足している。「本物」を地域に根付いた形であせらずに構築することが大切だ。
・以前、ウォーキング前後に参加者全員の血圧測定をするということを行ったが、ウォーキングは血圧が下がる良いことだということを分かってもらうために実施したものである。

健康長寿観光の取り組み

・「健康長寿観光」は健康に結びつくエビデンスがあるプログラムを目指したいが、基本的に「観光」は楽しみであり苦行ではないのでその程度はあると思う。
・「社会的な健康」という点は、まさに上士幌町が「イムノリゾート構想」で取り組もうとしていることである。同構想では神経系、免疫系、内分泌系の体内環境バランスの是正を大きな目的にしている。子供たちにアレルギーや感染症、集団感染が増えているということがある。0?5歳の食育環境がおかしくなっているためであるが、それを治して一緒に遊べるようなフィールドを作ってやれば、老人たちも生きがいを持て元気な社会ができる。
・上士幌町の「スギ花粉疎開ツアー」では、スギ花粉がない自然の中で遊びストレスを解消する。そして、普段の生活・食事におけるアレルギー対策・予防の手段を会得する。ツアーの7割は遊びで良い。残りの部分で健康になる秘訣やコツを教えればよいと思う。
・木島平村ではパークゴルフを長野県で始めて導入したが、それは他地域との交流が生まれ、交流を楽しむことが健康にも寄与するのではないかと考えたからである。
・温泉についてだが、歓楽・ストレス発散型ではなく、地元の生活に根付いている湯治のような治療型、健康を保つための習慣もぜひモニターツアーに取り入れたい。
・既成概念を打破したい。都会から地方へという一方向の物見遊山的な観光の時代は終わっており、これからは双方向の観光にしたいと思っている。例えば、ゲストとホストの立場が入れ替わるような。都会から来たヘルパーに対してお金を支払うような双方向でお金をやり取りする仕組みも可能になった。ネットの仕組みを使うなど、新しいことにも挑戦したい。
・参加各地域の良い点をどんどん試して取り入れていきたい。例えば、今回参加の5地域で連携して毎年テーマをサイクルするのも良いのではないか。今年のテーマはこう、来年のテーマはこうというふうにテーマが変われば毎年同じ場所でも飽きることがない。

持続性も大切

・「健康」を掲げたからといって、注目は引くけれども、必ずしも参加する人は多くない。それは参加側からすると「7割のお楽しみ」がきっかけとして重要だからだと思う。
・一方の受け入れ側には、グリーンツーリズムやアグリツーリズムでも見受けられるが、地元にあまりにも負担があると結果としてやりきれなくなるということがある。
・どちらか片方だけに重点を置くということではなく、ホスト・ゲスト双方にとって益があること、人の健康だけではなく、経済性、自然環境も含めて地域が元気、健康になることが大前提だと思う。これらを踏まえてはじめて持続性が生まれるのではないか。

日時: 2007年12月17日 19:01 | トラックバック (0)

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