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宮古島市検討会(3)報告

カテゴリー:地区検討会 ¦ 宮古島市(沖縄県)

 平成20年2月13日(水)、宮古島市モデル地区検討会(第3回)を開催しました。その模様をお知らせします。

概要


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1.日時:平成20年2月13日(水)14:00から16:10
2.会場:宮古島市 本庁舎(平良庁舎)
3.参加者:検討委員4名、関係機関、事務局など
4.議題:
(1) 報告事項
・第2回検討会(H19.12.12)の議事内容の確認
・第2回調査検討委員会(H20.1.25)の報告
・健康長寿観光フォーラム(仮称)の開催について
・モデル地区調査報告の構成案について
(2) モニターツアー(H20.1.20-23)の報告
・モニターツアーの実施内容について
・モニターアンケートの集計結果について
(3) 健康長寿観光の展開方策について
・健康長寿観光のあり方と展開方策について
・宮古島市における健康長寿観光の展開方策について

こんな意見が出ました

モニターツアーでの課題

・モニターツアーの参加者からは、宮古島の健康的な食事、その詳しい解説、美しい自然、島の人の人情というものが大変高い評価を受けたが、農業体験のメニューが変更となってしまったこと、交流会はオトーリを廻し過ぎてしまい、参加者には喜んでもらえたものの閉会時間が遅くなってしまったこと、また、天候がよくなかったため、予定していたプログラム(遺跡めぐりなど野外メニュー)が中途半端な形となってしまったことなど反省点としてあげられる。
・主として旅行会社と受け入れ側との間の連絡・調整不足によるものが大きい。今回のツアーでは課題の抽出ができ、大変勉強になったので、これからは連携を取りながら進めたい。
・宮古島までの飛行機が、往路の羽田は早朝発、復路は深夜着という点が、特に高齢者への大きなネックになっている。こうした点は改善されるとよい。

宮古島の資源

1) 地域の健康長寿
・おじぃ・おばぁは宮古島の重要な資源と言えるが、現在のおじぃ・おばぁのように、いま50代、60代の人たちがおじぃ・おばぁになる20年後、本当に健康長寿でいられるのかどうかはわからない。持続的に考えるならば、長期的にも地域住民が健康長寿である必要があるのではないか。
・沖縄県男性が長寿県首位から脱落した原因として本土より早くアメリカンナイズドされた食生活といわれている。「ある意味、本土を先取りしている」というように逆手に取って、沖縄県がいち早く昔の健康長寿の生活に戻るような取り組みをしていけばよい。
・長野県は現在、男性の長寿日本一であるが、昔は短命で土地の土壌もやせていた。長野県は沖縄県の長寿を真似るべく保健関係者等を派遣して勉強し、30年以上にわたって食事改善運動を行うなどした。長野県では、高齢者の就業率が高いことも健康長寿の要因かもしれない。


2) 自然
・モニターツアーのアンケート結果で、宮古島の「豊かな自然環境」が好評だった。これは海が中心ではあるが、ゆったりとした気候・風土、くつろげて、気持ちや身体がほぐれる全体的な環境をも指していると思われる。
・宮古島の豊かな自然環境は、地元に住んでいると日常すぎて気づかなかったり、わからなかったりする。外からの視点で観光資源は何かということを見直すことが大切である。


3) 土壌
・宮古島の健康的な食が好評だったとのことだが、弱アルカリ性の土壌であることが大いに関係していると考えられている。長寿と土壌の関係に明確なエビデンスがあるわけではないが、もしかしたら関係があるかもしれない。
・東京農大の野菜の抗酸化力の研究で、全国6箇所でゴーヤの抗酸化力を調査比較したところ、宮古島のゴーヤが最も抗酸化力が高い(通常の2-3倍)ことがわかった。土壌は、宮古島にとって健康長寿の資源になるかもしれない。“弱アルカリ性の土壌”“宮古島産野菜の抗酸化力”を推進・展開方策のどこかで利用できるとよい。
・観光プログラムなどでも、例えば3日間、宮古島の健康に良いといわれている食事、食材を具体的に提供するテーマを絞ったものがあってもよい。


4) 健康食・郷土料理
・以前、沖縄の食についての調査を実施したところ、年令が高くなるほど、不評の声が多かった。しかし、今回のモニターツアーでは、食について高い評価を得た。その理由として、中味汁やパパイヤと小豆の煮込みなど宮古島ならではの食、採り立ての食材にこだわったことが大きいと思われる。
・また、食材を丁寧に説明したり、一緒に調理するなどしたことも大きな要因と考えられる。料理は、味そのものだけではなく、その料理(食材)のストーリーを知ることで評価が高まるのではないか。実際のアンケート結果でも、それを裏付けている。


5) 温泉浴・タラソテラピー
・本調査に係る都市住民を対象としたインターネットアンケートにおいて、「参加したい健康長寿観光プログラム」という設問に対し、温泉浴が最も多い結果が出ている。宮古島では、もう一ヶ所、温泉を掘削中であり、宮古島にも温泉があることをPRしたほうがよい。

今後の取組み

1) 地元の連携体制
・今回のモニターツアーの受け入れを行った「さるかの会」が活動する城辺地区以外の地元のグリーンツーリズム活動は、下地地区に二つの組織、個人ベースもあるが、全般的にはあまり活発な活動がされてない。
・個人ベースだけでは活動に限界があるため、各地区での組織化と地区の組織が連携してクラスターをつくり、統合した受け皿組織となるものが必要である。
・今回の推進方策の提案により、全体の方向や形が明確に見えたので、ATAづくりを宮古島市や地元旅行会社が連携して、できるだけ早く進めるべきである。特に観光協会は積極的に先導してもらいたい。
・このような組織は受け皿である地元の熱意なしには実現せず、また、長続きさせるためには民間主体で活動していく必要がある。ただし、初期段階では、行政のイニシアティブが必要であり、立ち上げを全面的に支援する必要がある。


2)  宮古島市の庁内での連携体制づくり
・宮古島市では、早急に役所内の庁内連絡会議を設置してもらいたい。既存の類似した連絡組織はあるようだが、具体的に動いていないということであれば、積極的に体制づくりに動いてもらいたい。東京での最終の全体委員会でも、この仕組みを是非、発表したい。
・宮古島市では旧市町村ごとの分庁方式を取っている。これを活かして、行政側でも各地区に担当者を設置して地域と連携して進めてもらいたい。


3) ボランティアガイド
・やる気がある高齢者に、ボランティアガイドへ登録してもらい、データベースをつくるとよい。そして、ガイドをしてもらうことにより、高齢者も元気になり、彼らから元気をもらう。
・実際、市では観光ガイド(観光コンシェルジュ)の養成をしており、健康長寿観光ともつなげていける。


4) インターネット環境
・今は、情報収集や旅行の手配のほとんどをインターネットから行うような時代にあって、インターネット上にないものは選択肢にはなり得なくなっている。地域でのPC環境の整備が重要かつ急務であり、ネットでの魅力づくりは重要である。実際に、民宿の予約をネットで行いたいという要望も寄せられた。


5) 交流
・宮古島のあたたかさである「交流」も健康につながるのではないか。ツアーは年配の方が多かったので、地元の年配者との交流を持てるように仕掛けをしたほうがよかったと思った。
・交流は、一方的に地域側がもてなすばかりでなく、訪問者側も地域に役立つことができるものもあるよいという声が、モニターツアーの参加者から聞かれた。
・モニターツアーのアンケートで「地域に親しい友人や仲間をつくりたい」という回答も多かった。今回のツアーの交流成果のひとつといえる。そうしたニーズに応えるためには、さるかの会のようなグリーンツーリズムや民泊、伝統文化を通した交流など、何度も訪れて交流できるような仕組みが求められる。

日時: 2008年02月18日 18:29 | トラックバック (0)

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